X線フィルムの代わりにデジタル画像が標準になってから、動物病院のデータ量は桁が変わりました。1枚の胸部X線で数MB、CT一式で数百MBになります。これを院内の古いパソコンで管理し続けている病院では、「ディスクがいっぱい」「バックアップが取れていない」「往診先からカルテを見られない」という問題が日常的に起きています。
動物病院が抱えるデータ管理の現実
農林水産省の統計によれば、小動物を対象とする動物病院数は2024年時点で12,846施設に達しました(2004年比で約39%増)。病院数が増える一方でペットの飼育頭数は減少しており、各病院の競争は年々厳しくなっています。
診療に専念するために「選ばれる病院」を作るには、医療の質と経営の効率の両方を上げる必要があります。データ管理がボトルネックになっていると、どちらも止まります。
動物病院が扱うデータの種類と容量
診療画像(最大容量を占める)
- デジタルX線(DR/CR):1枚あたり5〜20MB
- CT・MRI:1症例あたり100〜500MB
- 内視鏡・エコー動画:症例によっては1GB超
電子カルテ・診療記録
- テキスト・処方歴・検査結果のデータベース
- 診療録は法令上3年間の保存が義務
飼い主・ペット情報
- 個人情報(連絡先・決済情報)を含むため、適切なアクセス制御が必要
業務ファイル
- スタッフマニュアル、薬剤リスト、手術記録写真
- 請求書・領収書のスキャンデータ
ローカルPCとNASで管理し続けるリスク
ハードウェア障害によるデータ消失
HDDの平均故障率は稼働3〜5年で急増します。CT画像のような再取得が困難なデータを1台のHDDにだけ保存していた場合、障害発生時に取り返しがつきません。外付けHDDへの手動バックアップは、実施を忘れた時点で保護が途切れます。
往診・外出先からのアクセス不可
往診先で「あの患者のCT画像を確認したい」と思っても、院内サーバーにしかデータがなければその場では対応できません。高齢のペットオーナーを中心に往診の依頼は増えており、外出先でカルテを参照できない体制は診療の質に直結します。
複数スタッフによる同時アクセスの問題
院内のNASを複数台のパソコンで共有する構成では、同一ファイルを同時編集して内容が上書きされるトラブルが起きます。「昨日入力したカルテが消えた」という事態は、ファイル共有の設計が不適切な環境で頻繁に発生します。
セキュリティパッチ未適用のリスク
古い院内サーバーをWindowsのサポート終了後もそのまま使い続けているケースがあります。セキュリティパッチが当たらないシステムは、ランサムウェアなどのサイバー攻撃の標的になります。
クラウドストレージで解決できること

診療画像の長期保管と即時アクセス
クラウドストレージに診療画像を保存すると、院内どのパソコンからも、往診先のタブレットからも同じ画像を参照できます。ストレージ容量はプランで増やせるため、「ディスクがいっぱい」で新しい画像を保存できなくなる事態を防げます。
HStorageではWebDAVプロトコルに対応しており、Windowsのエクスプローラーやmacのファインダーからネットワークドライブとして接続できます。既存の診療ソフトがファイルを特定のフォルダに保存する設計であれば、そのフォルダをHStorageのWebDAVドライブに変更するだけで、自動的にクラウドへ同期されます。
自動バックアップ
クラウドに保存した時点でデータはサーバー側でバックアップされます。「バックアップを取り忘れた」というリスクがなくなります。HStorageはバージョン管理機能を持ち、誤って削除・上書きしたファイルも指定した時点に戻せます。
スタッフ間での安全なファイル共有
フォルダ単位でアクセス権を設定できるため、担当獣医師だけが閲覧できるフォルダと、全スタッフが参照できるマニュアルフォルダを分けて管理できます。アカウント単位で権限を付与するため、退職したスタッフのアクセスを即座に無効化できます。
多院展開・往診対応のアクセス管理
複数の分院を持つ動物病院グループや、定期的に往診を行う病院では、拠点をまたいだデータアクセスが課題になります。
HStorageでは院別・スタッフ別のアクセス権を細かく設定できます。本院の獣医師は全データを閲覧可能、各分院のスタッフは自分の分院データのみにアクセス、外部の検査機関には特定フォルダだけを期限付きで共有——といった構成を管理画面から設定できます。
📁 動物病院グループ/
📁 本院/
📁 診療画像/2026/ ← 本院獣医師のみ
📁 電子カルテDB/ ← 管理者のみ
📁 分院A/
📁 診療画像/2026/ ← 分院Aスタッフのみ
📁 共有マニュアル/ ← 全スタッフ閲覧可
📁 外部検査機関共有/ ← 期限付きリンクで共有
往診スタッフがスマートフォンやタブレットから特定の患者カルテにアクセスする場合は、共有リンクにパスワードと有効期限を設定することで、必要な情報だけを安全に渡せます。
診療画像の具体的な保管フロー

1. 検査機器からの自動転送
デジタルX線装置やCT機器が画像をDICOM形式でエクスポートする場合、保存先フォルダをHStorageのWebDAVドライブに設定するか、rcloneなどのツールで自動同期を設定します。
2. 患者フォルダへの整理
「患者番号_動物名」のフォルダ構造で整理すると、後から特定の患者の画像を素早く見つけられます。ファイル名に撮影日を含めることで、時系列の変化を追いやすくなります。
3. 共有リンクで紹介先病院に送付
他院への紹介時に大容量のCT画像を送る場合、メール添付では限界があります。HStorageの共有リンクを発行してURLを伝えるだけで、相手はブラウザからダウンロードできます。リンクには有効期限を設定でき、送付後に無効化できます。
4. 長期保管フォルダへのアーカイブ
診療録の保存義務(3年)を満たすため、古い診療データを「アーカイブ」フォルダに移動してアクセス権を制限します。容量単価が安いプランに移行することでコストを抑えながら保管を続けられます。
個人情報保護の観点から必要な設定
動物病院が保持するデータには、飼い主の個人情報(氏名・住所・電話番号・決済情報)が含まれます。個人情報保護法の規定に基づき、適切な管理体制が必要です。
アクセスログの記録:誰がいつどのファイルにアクセスしたかを記録します。不審なアクセスを後から確認できます。
通信の暗号化:HStorageはすべての通信をSSL/TLSで暗号化しています。公衆Wi-Fi環境から接続しても、通信内容を傍受されません。
ストレージの暗号化:保存データはAES-256で暗号化されています。物理的な記録媒体が流出しても、データを読み取れません。
多要素認証(MFA):管理者アカウントにはMFAを設定します。パスワードが漏洩しても、追加の認証なしにはログインできません。
IT導入補助金2026の活用
2026年度のIT導入補助金(経済産業省・中小企業庁)では、クラウドサービスへの移行費用が対象になる区分があります。動物病院は中小企業・小規模事業者に該当するケースがほとんどで、要件を満たせば補助率1/2〜2/3で導入費用を補助してもらえます。
詳細な要件と申請手続きは中小企業庁の公式サイトまたは認定ITコーディネーターに確認してください。
導入前に整理しておくこと
現在のデータ量を把握する:院内サーバーとパソコンの合計容量を確認します。移行先のプランを選ぶ基準になります。
フォルダ構造を決める:患者番号・年度・データ種別のどれで分類するかを決めてから移行します。後からの変更はファイル数が多いと手間がかかります。
アクセス権の設計:スタッフ別・役職別のアクセス範囲を一覧化します。退職・採用のたびに設定変更が必要になるため、変更手順も合わせて決めておきます。
既存診療ソフトとの連携確認:使用している電子カルテや診療管理ソフトがWebDAV・SFTP・S3互換APIのどれに対応しているかを確認します。対応していれば、クラウドストレージをネットワークドライブとして使える場合があります。
ハードウェアの交換費用、障害対応の時間、バックアップ運用の手間——院内サーバーを維持するコストは年々かかり続けます。これらをクラウドに移した分だけ、獣医師とスタッフは診療に時間を使えます。HStorageの14日間無料トライアルで、実際の操作感を確かめてください。