患者一人あたりのデータ量が増え続けています。デジタルパノラマX線、口腔内写真、3D口腔内スキャンデータ、治療前後の比較画像——一般的な歯科医院でも、5年分の診療録を院内サーバーで管理し続けると、ストレージ容量はすぐに限界に達します。加えて、歯科技工所へのデータ受け渡し、訪問歯科診療でのカルテ参照、複数院展開時の本部共有——これらの業務でUSBメモリやメールを使い続けると、情報漏洩と運用効率の両面でリスクが積み上がります。
歯科医院のデータ管理が複雑な理由
歯科医院が保有するデータは、他の診療科と比べて種類が多く、それぞれに保存義務の規定があります。
診療録(カルテ)は歯科医師法第23条により、診療完結の日から5年間の保存が義務付けられています。紙カルテを電子化するだけでなく、電子媒体で保存する場合は厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第6.0版」(以下、安全管理ガイドライン)への準拠が求められます。
画像データは大きく三種類あります。パノラマX線やデンタルX線などのレントゲン写真、口腔内カメラで撮影した口腔内写真、そして近年普及が進んでいる3D口腔内スキャナのデータです。特に3Dスキャンデータは1症例あたり数十MBになるケースもあり、院内NASだけでの管理が難しくなっています。
歯科技工指示書は歯科技工士法第19条により、歯科技工終了の日から2年間の保管が義務です。クラウン、ブリッジ、入れ歯などの製作を外部の技工所に依頼する際、CAD/CAMデータや指示書を安全に送受信する手段も必要です。
法令上の保存義務一覧

歯科医院で保管義務がある主な記録をまとめます。
| 書類・記録 | 根拠法令 | 保存期間 | 起算日 |
|---|---|---|---|
| 診療録(カルテ) | 歯科医師法第23条 | 5年 | 診療完結の日 |
| 歯科技工指示書 | 歯科技工士法第19条 | 2年 | 歯科技工終了の日 |
| エックス線写真・検査所見記録 | 医療法施行規則 | 2年 | 各記録の作成日等 |
| 紹介状(控え) | 医療法施行規則 | 2年 | 作成日 |
電子媒体で保存するには、安全管理ガイドラインが定める三原則への対応が必要です。真正性(誰がいつ作成・変更したかを確認できる)、見読性(保存期間中いつでも読める状態を維持できる)、保存性(保存期間中の改ざん・消去を防止できる)の三つです。
HStorageは通信をTLS 1.3で暗号化し、保存データをAES-256で暗号化します。アクセスログには操作者・日時・対象ファイルが記録されるため、真正性の検証に必要な証跡を確保できます。
院内NASでは追いつかない課題
画像データの急増
口腔内3Dスキャナが普及し、1患者あたりのデータ量は以前の数十倍規模に膨らんでいます。初診時のスキャン、治療途中のスキャン、補綴物装着後のスキャンと積み重なると、活動患者3,000人規模の医院でも年間数十GBから数百GBの画像データが新たに発生します。5年分を院内NASで保持し続けるには、容量の増設が繰り返し必要で、管理コストが上がります。
ランサムウェアリスク
2023年以降、中小規模の医療機関を標的にしたランサムウェア攻撃が国内で増加しています。院内NASはPCと同一ネットワーク上に存在するため、PCが感染すると保存された診療録・画像データも暗号化される危険があります。
厚生労働省の安全管理ガイドラインは、「2種類の異なる媒体に保存し、うち1つはオフサイトまたはオフライン環境に保管する」という3-2-1バックアップルールに相当する対策を求めています。クラウドへのバックアップはオフサイト保管の要件を満たします。
訪問歯科診療でのアクセス制限
患者宅や介護施設への訪問診療では、院内サーバーのデータには外から触れません。訪問前に紙でカルテをプリントアウトして持参するか、電話で院内スタッフに確認するしか方法がなくなります。
クラウドストレージで解決できること
患者データの一元管理と即時アクセス
HStorageに患者ごとのフォルダを作成し、診療録・レントゲン画像・口腔内写真・技工指示書を格納すると、診療室のPC・受付タブレット・訪問用スマートフォンのどこからでもアクセスできます。
WebDAVに対応しているため、WindowsのエクスプローラーやmacのFinderからネットワークドライブとして接続できます。画像管理ソフトの保存先をWebDAVドライブに設定すれば、撮影と同時に自動でクラウドへ保存されます。
技工所との安全なデータ受け渡し
CAD/CAMデータや口腔内スキャンデータを技工所へ送る際、メール添付では容量の上限に引っかかることがあります。USBメモリの郵送は紛失リスクと時間ロスの両方があります。
HStorageの共有リンク機能を使えば、パスワードと有効期限を設定したURLを発行できます。技工所の担当者はアカウント登録なしにブラウザからデータをダウンロードできます。ダウンロードが完了したら期限を切るだけで、第三者がリンクを踏んでもアクセスできない状態にできます。
SFTPにも対応しているため、技工所が使用しているCAD/CAMソフトやファイル転送ツールと直接連携させることもできます。
訪問歯科診療での活用
患者ごとのフォルダに、前回の診療内容・使用した補綴物のデータ・治療計画書を格納しておけば、訪問先のスマートフォンからでも確認できます。訪問診療後に追記した記録をその場でアップロードすれば、医院に戻る前から受付スタッフも確認できます。
フォルダ構成の例

複数院展開を想定したフォルダ構成の例です。
📁 歯科医院グループ/
📁 本部共有/
📁 院内マニュアル/2026/ ← 全院閲覧可(編集は本部のみ)
📁 研修資料/ ← 全スタッフ閲覧可
📁 契約書・届出書類/ ← 管理者のみ
📁 ○○院/
📁 患者データ/
📁 2025-0001-田中太郎/
📁 診療録/ ← カルテPDF・テキスト
📁 画像/ ← X線・口腔内写真・3Dスキャン
📁 技工指示書/ ← 技工所との往復ファイル
📁 院内書類/2026/ ← 院長・受付長のみ
📁 △△院/
📁 患者データ/
📁 院内書類/2026/
HStorageはフォルダ単位・ユーザー単位でアクセス権を設定できます。院長は全院のデータを参照でき、各院のスタッフは担当院のデータのみにアクセスできます。退職スタッフのアカウントを無効化した瞬間にアクセスが遮断されます。
個人情報・患者データのセキュリティ
歯科医院が扱う患者データは、個人情報保護法の「要配慮個人情報」に該当します(病歴・治療内容を含むため)。クラウドストレージを選ぶ際は、以下の点を確認してください。
通信の暗号化:すべての通信をTLS 1.3で暗号化。Wi-Fi経由でも第三者に傍受されません。
保存データの暗号化:AES-256でデータを暗号化して保存。物理サーバーへの不正アクセスがあっても、内容の解読はできない状態を保ちます。
多要素認証(MFA):院長・管理者アカウントにMFAを設定することで、パスワード漏洩時でも不正アクセスを防げます。
アクセスログの保存:誰がいつどのファイルを操作したかが記録されます。安全管理ガイドラインが要求する「アクセス記録の管理」要件を満たします。
データ保存地域:HStorageはデータをEU圏のデータセンターに保存しています。EU一般データ保護規則(GDPR)に準拠したデータ管理が行われています。
デジタル化補助金との組み合わせ
国が実施する「デジタル化・AI導入補助金」(2026年度)では、クラウドストレージを含む業務デジタル化ツールの導入費用に補助が出るケースがあります。
電子カルテシステムや3D口腔内スキャナとのデータ連携を検討する際は、同一の申請枠でクラウドストレージの費用も計上できるか、担当ITベンダーや補助金申請支援機関に確認してください。HStorageはS3互換APIとWebDAV・SFTPに対応しているため、多くの電子カルテシステムや画像管理ソフトと直接連携できます。
導入前に確認すること
現在の保有データ量を測る:患者ごとの画像フォルダを抽出してサイズを確認します。移行先のプランを選ぶ根拠になります。5年分のデータ量と今後の増加ペースを見積もり、容量に余裕を持たせてください。
既存ソフトの接続方式を確認する:電子カルテソフト・デジタルX線システム・口腔内写真管理ソフトがWebDAV・SFTP・S3のどれかをサポートしているかをベンダーに確認します。対応していれば、ソフトの保存先をHStorageに変更するだけで自動的にクラウドへ保存されます。
フォルダ設計を先に決める:患者ID・診療年度・データ種別の軸を決めてから移行します。後から変更すると、患者数が多い医院では整理に時間がかかります。
アクセス権の設計を文書化する:スタッフが変わるたびに権限を更新します。「どの役職がどのフォルダにアクセスできるか」を一覧表にしておくと、採用・退職のたびの設定ミスが防げます。
5年分の診療録、レントゲン写真の積み上がり、3Dスキャンデータの増加——歯科医院のストレージ課題は確実に大きくなっています。院内NASに容量を追加し続けるより、クラウドへ移して管理コストを固定化するほうが現実的です。HStorageの14日間無料トライアルで、実際のWebDAV接続や共有リンク機能を試してみてください。