企画書、会場図、台本、発注書、撮影した写真と動画——1つのイベントが終わるたびに、数百GBのデータが積み上がります。担当者のPCに散らばったまま、次の案件が始まる。「あの写真どこにある?」という問い合わせに毎回答える。クライアントへの納品はUSBメモリかギガファイル便。これがイベント企画会社の現場の実態です。

クラウドストレージを中心にファイル管理を整えると、こうした問題の多くを解消できます。以下では課題の整理から、フォルダ設計、外部共有の具体的な運用まで説明します。

イベント会社が抱えるファイル管理の課題

イベント企画チームがクラウドストレージを活用してファイル管理をしている様子

データ量が予想以上に多い

1件の展示会やカンファレンスで生まれるデータ量を整理すると、想像以上の規模です。

ファイルの種類 目安容量
企画書・提案書(PPT/PDF) 数十〜数百MB
会場図・設営図(CAD/PDF) 数MB〜数十MB
撮影写真(RAW) 1カット10〜30MB × 数百枚
撮影写真(JPEG編集済み) 1カット2〜10MB × 数百枚
記録映像(4K/60fps) 1時間あたり約100〜300GB
収録・中継素材 プロ機材では1時間500GB超も

1案件で数百GBに達することは珍しくなく、年間10件以上こなす会社では数TBが毎年蓄積します。外付けHDDが増え続け、3年後に「どのHDDにどの案件が入っているか分からない」状態になる前に、構造化されたクラウドストレージへ移行するのが現実的な選択です。

外部スタッフ・ベンダーとのファイルやり取りが煩雑

イベント制作には多くの関係者が関わります。カメラマン、映像編集会社、印刷会社、ケータリング、舞台装飾——それぞれに異なるファイルを渡し、納品物を受け取ります。

この「渡す・受け取る」がメール添付やUSBメモリで行われている場合、以下のトラブルが起きます。

  • 最新版のファイルがどれか分からなくなる
  • 大容量ファイルがメールで送れず、個人用ファイル転送サービスを使ってしまう
  • 受け取ったデータが担当者のPCにしかなく、引き継ぎ時に見つからなくなる

案件ごとのフォルダ管理がバラバラ

担当者が変わるたびにフォルダ構成が変わる、命名規則がない、ファイルに日付が入っていない——こうした属人的な管理は、チームが拡大するほど業務コストを押し上げます。Fleekdriveの調査によると、多拠点企業の約半数が「重複作業」を経験し、47%が「誤った情報で業務を進めた」経験があると報告されています。


イベント会社が扱うファイルの全体像

イベントのライフサイクルに沿うと、主なファイルは4つのフェーズに分類できます。

企画・提案フェーズ

  • 企画書・提案書(PowerPoint、Keynote、PDF)
  • 見積書・予算表(Excel、スプレッドシート)
  • 過去実績資料・参考画像
  • クライアントからの要望・仕様書

制作・準備フェーズ

  • 会場図・設営レイアウト図(PDF、CAD形式)
  • 台本・進行表・運営マニュアル
  • 各業者への発注書・仕様書
  • ロゴデータ・グラフィック素材(AI、PSD、PNG)
  • 印刷物の入稿データ・校正PDF

当日・直前フェーズ

  • スタッフ用緊急連絡先リスト
  • 当日タイムライン(最終版)
  • 会場Wi-Fiパスワード、機材リスト
  • リハーサル確認チェックリスト

事後フェーズ

  • 撮影写真(RAW、JPEG編集済み)
  • 記録映像(4K素材、ダイジェスト)
  • アンケート集計データ
  • 報告書・実績レポート
  • クライアントへの請求書

クラウドストレージで解決できること

フォルダ構成の標準化

プロジェクトごとにテンプレートフォルダを用意し、すべての担当者が同じ構造でファイルを管理できます。

202606_〇〇サミット/
├── 01_企画・提案/
│   ├── 提案書_v1.0.pdf
│   └── 提案書_v1.1_修正.pdf
├── 02_制作・準備/
│   ├── 会場図/
│   ├── 台本・進行/
│   └── 発注書/
├── 03_素材・ロゴ/
├── 04_当日資料/
└── 05_納品物/
    ├── 写真/
    └── 映像/

この構造をクラウドストレージのテンプレートとして保存しておけば、新しい案件を始める際にフォルダをコピーするだけで準備が整います。

外部ベンダーとの安全なファイル共有

クラウドストレージの共有リンク機能を使えば、外部スタッフに特定フォルダへのアクセスを与えられます。重要なのは、アクセス範囲を最小限に絞ることです。

カメラマンには「05_納品物/写真」フォルダへのアップロード権限だけを付与する。映像編集会社には完成データを受け取るフォルダのみ公開する。こうした設定により、必要以上の情報が外部に渡るリスクを避けられます。

HStorageでは、共有リンクにパスワードとダウンロード期限を設定できます。納品データをクライアントに渡す際、「7日間だけ有効なパスワード付きリンク」を発行すれば、納品後のデータ管理がシンプルになります。

大容量ファイルの納品

記録映像などの大容量ファイルを送る場面は、イベント会社では日常的に発生します。メール添付の上限は通常25MB前後、一般的なファイル転送サービスでも無料プランは2GB程度が上限です。

HStorageは大容量ファイルのアップロードに対応しており、数GBを超える映像素材でも問題なく転送できます。ダウンロード回数を制限する機能も備えているため、「何回でもダウンロードされる」状態を防げます。


フォルダ設計のベストプラクティス

イベント企画・運営会社向けのクラウドストレージフォルダ構造のイメージ

命名規則を社内で統一する

ファイル名の付け方がバラバラだと、検索に時間がかかります。以下のルールを定めると、誰が見てもファイルの内容と鮮度が一目でわかります。

  • 日付を先頭に入れる20260607_企画書_v1.0.pdf
  • バージョンを末尾に付ける_v1.0_v2.0_クライアント確認済
  • 最終版はFINALを付ける_FINAL.pdf(これ以上編集しないことを明示)
  • 日本語と英数字を混在させない:検索・ソートのズレを防ぐ

アクセス権限は3段階で考える

権限レベル 対象 設定内容
完全アクセス 社内スタッフ(プロジェクト担当) 閲覧・編集・削除すべて許可
閲覧のみ 社内スタッフ(他部署・経営層) 閲覧のみ
期限付き共有 外部ベンダー・クライアント 共有リンク(パスワード・期限設定)

外部に渡したリンクは、納品・受領確認後にすぐ無効化する習慣をつけると、情報漏洩リスクを下げられます。

案件終了後のアーカイブルール

案件が終わったフォルダをそのままにしておくと、ストレージが膨らむ一方です。以下のルールを決めておくと整理しやすくなります。

  • 案件終了から3カ月後:素材データを圧縮してアーカイブ用フォルダへ移動
  • 1年後:RAW写真・未編集映像を削除、編集済みデータのみ保持
  • 3〜5年後:クライアントの保存要件に応じてデータを削除または長期保管ストレージへ移行

電子帳簿保存法の対象になる請求書や発注書は、スキャンデータをクラウドストレージに保存し、フォルダとファイル名で検索できる状態を維持する必要があります。2022年改正以降、電子取引データは原則として電子保存が義務付けられており、適切なフォルダ管理がそのまま法令対応になります。


HStorageを活用した具体的な運用フロー

案件開始時

  1. テンプレートフォルダをコピーして案件フォルダを作成(例:202607_△△展示会
  2. 担当スタッフにフォルダへのアクセス権を付与
  3. 案件に関わる外部ベンダーへは、該当フォルダのみの限定共有リンクを発行

制作・準備期間中

  • 各業者からの納品データは「02_制作・準備」配下の専用フォルダに集約
  • ファイルのバージョン管理:更新したファイルは旧バージョンを残したまま _v2.0 を付けて保存(HStorageのバージョン履歴機能でも確認可能)
  • 社外スタッフへのデータ送付は、共有リンクに有効期限を設定して送信

イベント当日

  • 撮影スタッフがスマートフォンやラップトップから直接クラウドへアップロード
  • 事務局担当が随時確認・整理
  • 大容量の映像素材は帰社後に高速回線でまとめてアップロード

事後・納品フェーズ

  • 編集済み写真・映像をクライアント向け共有フォルダに格納
  • ダウンロード期限付きリンクをクライアントへ送付(1〜2週間が目安)
  • 案件フォルダを「アーカイブ」フォルダへ移動して整理完了

まとめ

イベント企画会社は、他の業種と比べてファイルの種類・量・関係者数がすべて多い職種です。アクセス権限・共有ルール・命名規則・アーカイブルールを整えると、チームが拡大しても運用が崩れない仕組みが作れます。

HStorageは、パスワード付き共有リンク、ダウンロード回数制限、暗号化機能、フォルダ単位の権限管理を備えています。テンプレートフォルダを1つ作るところから始めてください。